ワインで頭痛になる本当の理由|亜硫酸塩より怖い5つの原因をシェフが解説

ワイン選び・入門

「私、ワインを飲むと頭痛になるんです。亜硫酸塩が入ってるからですよね?」

レストランで働いていると、こういった声をお客様からよく聞きます。

実は、これは半分正解で、半分誤解です。

亜硫酸塩(SO₂)がワインに含まれているのは事実です。しかし、頭痛の主犯ではない。それを示す、シンプルで決定的な事実があります。

白ワインのほうが、赤ワインより亜硫酸塩の含有量が多い。

にもかかわらず、頭痛が起きやすいのは赤ワインです。

この矛盾を説明できないなら、亜硫酸塩を犯人にするのは早計です。

この記事では、ワイン頭痛の本当の5つの原因と、それを踏まえた頭痛が起きにくいワインの選び方をシェフの視点から解説します。

なぜ「亜硫酸塩犯人説」が広まったのか

亜硫酸塩はワインの酸化を防ぐ保存料として使われています。ラベルに「酸化防止剤(亜硫酸塩)」と書かれているのを見たことがある方も多いでしょう。

この表示の見た目のインパクトから、「添加物=体に悪い=頭痛の原因」という連想が広まりました。

しかし数字で見ると話が変わります。

ワインの種類亜硫酸塩の目安
辛口白ワイン100〜200mg/L
甘口白ワイン最大400mg/L
赤ワイン50〜150mg/L
自然派ワイン10〜50mg/L

白ワインは保存性を高めるために亜硫酸塩を多く使います。ドライフルーツや干しエビなど食品の中にはワインよりはるかに多くの亜硫酸塩を含むものもあります。

亜硫酸塩に本当に敏感な人は喘息発作のような反応が出ますが、それは人口の約1%以下とされています。

では、赤ワインで頭痛が起きやすい本当の理由は何か。

ワイン頭痛の本当の原因5つ

原因① ヒスタミン|血管を広げる物質

赤ワインにはヒスタミンが多く含まれています。

ヒスタミンは血管を拡張させる作用があり、頭部の血管が広がると拍動性の頭痛を引き起こします。花粉症の薬(抗ヒスタミン剤)が効く頭痛と同じメカニズムです。

赤ワインでヒスタミンが多い理由は製造工程にあります。マロラクティック発酵(乳酸菌による二次発酵)を経る赤ワインは、この過程でヒスタミン量が増加します。

白ワインはマロラクティック発酵を行わないものが多いため、ヒスタミンの含有量が少なくなります。

対策:軽めのワインを選ぶのが有効です。また、食事と一緒に飲むことでも症状が軽減します。

原因② タンニン|セロトニンを過剰に放出させる

赤ワインに含まれるタンニンは、ブドウの皮・種・茎、そして木樽に由来するポリフェノールの一種です。

タンニンは体内でセロトニンの放出を促す作用があります。セロトニンは「幸福ホルモン」として知られますが、過剰に放出されると血管収縮を引き起こし、その後の反動的な血管拡張が片頭痛のトリガーになります。

もともと片頭痛持ちの方はタンニンの影響を受けやすいとされています。

タンニンが特に多いワイン:カベルネ・ソーヴィニヨン、ネッビオーロ(バローロ)、タナ

タンニンが比較的少ないワイン:ピノ・ノワール、ガメイ(ボジョレー)、グルナッシュ

片頭痛持ちの方は軽めのボディの赤から試してみることをおすすめします。

原因③ チラミン|血圧を急激に変動させる

チラミンはアミノ酸のチロシンが変化した物質で、熟成・発酵が進む食品に多く含まれます。ワインの他にも、チーズや味噌、醤油などにも含まれています。

チラミンは交感神経を刺激して血圧を急激に上昇させる作用があります。これが血管を一時的に収縮させ、その後の拡張とセットで頭痛が起きる仕組みです。

熟成期間が長い赤ワイン(バローロ、リオハのグランレゼルバなど)はチラミンが増えやすい傾向があります。

原因④ 残糖と安価なワイン|血糖値スパイク

激安ワインや甘口ワインには残留糖分が多いものがあります。アルコールと糖分が同時に入ってくると血糖値が急上昇し、その後急降下します。

この「血糖スパイク」は頭痛の大きな原因のひとつです。二日酔い的な頭痛に近い感覚で、翌朝まで続くこともあります。

500円台〜1000円以下の甘口スパークリングや、大量生産の低価格ワインは糖分補正をしているものが多いため注意が必要です。

価格帯で言うと、1500円以上の辛口ワインを選ぶことでこのリスクはかなり下がります。

原因⑤ 脱水|アルコールの利尿作用

これは最もシンプルで、かつ見落とされがちな原因です。

アルコールには利尿作用があり、腎臓からの水分排出を促進します。つまり、ワインを飲めば飲むほど体内の水分が失われていきます。

脱水は頭痛の最も古典的な原因のひとつ。飲んだ翌朝の「ズキズキ頭痛」は、多くの場合これが主因です。

  • ワインと同量の水を補給する(ワイン1杯につき水1杯)
  • 食事と一緒に飲む(食べ物が水分吸収を助ける)
  • 空腹での飲酒を避ける

これだけで翌日の頭痛がかなり変わります。

頭痛を避けるためのワインの選び方

5つの原因を踏まえると、「頭痛が起きにくいワイン」の条件が見えてきます。

タンニンとヒスタミンが少ない品種を選ぶ

おすすめ理由
ピノ・ノワールタンニン少なめ、軽やかな赤
ガメイタンニン少なく飲みやすい
白ワイン全般ヒスタミン・タンニン共に少ない
ロゼワインバランスが良くリスクが低い

辛口・高品質なものを選ぶ

  • 甘口・格安ワインは避ける
  • 1500円以上の辛口ワインを基準にする
  • 「酸化防止剤無添加」のワインは残糖が多いものもあるので要注意

飲み方で対策する

  1. 食事と一緒に飲む——空腹飲みをしない
  2. 水を必ず補給する——ワイン1:水1を意識
  3. ゆっくり飲む——血中アルコール濃度の急上昇を防ぐ
  4. 飲む量をコントロールする——グラス2〜3杯が目安

まとめ|ワイン頭痛の原因と対策

原因多いワイン対策
ヒスタミン赤ワイン全般軽めの赤を選ぶ
タンニンカベルネ等重い赤ピノ・ノワールなど軽い赤に
チラミン長期熟成ワインフレッシュなワインを選ぶ
血糖スパイク甘口・安価なワイン辛口×1500円以上
脱水すべてのワイン水補給・食事と一緒に

亜硫酸塩を避けても頭痛が治まらなかった方は、ぜひこの5つの原因の視点でワイン選びを見直してみてください。

「ワインが好きだけど頭痛になるから怖い」という理由でワインを遠ざけてしまっている方にも、選び方次第で楽しめるワインが必ずあります。

頭痛が起きにくいワインを探す

タンニンが少なく飲みやすいピノ・ノワールや、ヒスタミンが少ない白ワインの選び方は、このブログでも随時紹介しています。プロフィールリンクから最新記事もチェックしてみてください。

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